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事業用の資産は子孫からの預かり品である

事業用の資産は子孫からの預かり品である

未来からの財産の一時預かり人として、財産を失わないように慎重に運用

 イソップの寓話に「ガチョウと黄金の卵」という話があります。ある農民は、一日に1個の卵を産むガチョウを持っていました。農民は毎日1個のガチョウの卵を待っていられず、腹の中の卵を一挙に手に入れようとガチョウの腹を切ってみました。しかし、ガチョウの腹には金の卵は無く、農民は毎日1コの卵も手に入れられなくなってしまいましたとさ。

 同族会社が毎期生み出すわずかな利益に課税することを待ち切れずに、欲張って利益を生み出す原資である同族会社の資産やノウハウに相続税を課税すると、その同族会社が倒産してしまいます。

 国は1400兆円の個人所有の金融資産に課税しようと考え、同族会社の株式に課税するとイソップの寓話と同じ結果になりかねません。

 事業用の資産は、現在の経営者が積み上げてきた過去の資産ではなく、未来の日本の経済を支え未来の雇用を守る、未来からの預かり品なのです。現在の経営者は、延々と続く未来の財産を一時的に預かって、運用しているだけなのです。そして、時が来れば次の世代に引き渡して、同様に運用してもらいます。

 国がその運用益に課税することは差し支えないが、元本に課税することは将来の課税機会を失ってしまいます。

 また、現在の経営者は、未来からの財産の一時預かり人として、財産を失わないように慎重に運用してください。

 そして後継者も未来からの財産を受け取って、多くの人を幸せにするように謙虚に運用してください。その多くの人には、従業員、仕入先、顧客、銀行や投資家、国や地方公共団体の関係者を含みます。

 現在の相続人は、過去からの財産をただで受け取るのではありません。未来に引き渡すべき財産を一時的に預かるだけです。未来に渡すべき財産を棄損しないように注意しなければなりません。

 同族会社である中小企業の相続は、黄金の卵を産むガチョウなのです。

 第一コンサルティング株式会社は、中小企業の事業承継を応援します。私たちは、お父さんと事業承継の話をしてみます。私たちは、息子さんの考えを聞いてみます。

完全なる事業承継は、税法の知識だけで実現できません。会社法や信託法の知識だけでも実現できません。今は、総合的な知識が必要な相続コンサルティングが求められています。

※平成24年12月当時の法律により記載している記事です。その後の改正には対応しておりませんのでご留意ください