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政府公認の同族会社株式の評価額低減策

政府公認の同族会社株式の評価額低減策

知っていて、よかった

 政府が中小企業の自己資本の充実を促進し、その健全な成長発展を図るため、中小企業に対する投資等の事業を行なうことを目的とする株式会社を用意しています。中小企業投資育成株式会社は経済産業省が所管する株式会社で、管轄都道府県により東京、大阪、名古屋の3会社より成り立っています。株主は都道府県のほか、全銀行、全地銀、全第二地銀、全信用金庫、全証券会社、全生命保険会社などです。中小企業投資育成会社は、資本金が3億円以下の中小企業に対し、設立、増資・新株引受権の引き受け等を行っています。

 つまり中小企業の株主や新株引受権者となってくれます。条件は一定の審査がありますが、一定の%以上の継続的な配当が見込まれることなどです。基本的に株主総会の議決権は社長に賛成の意思表示するので完全与党です。

 中小企業投資育成株式会社法では、投資育成のための投資の条件は審査することになっていますが、いわゆる「出口」に規制がないので、株式公開を強要されたり、M&Aで訳のわからない株主に売却されたりすることはありません。投資を受けた会社が自分の意思でM&Aをするとか株式公開するとかしない限り、永久に株式を持っていてくれます。

中小企業投資育成会社が投資するときの1株当たりの金額は、法人税の個別通達a>で定められており、分子は配当見込額、分母は期待利回りですから、おおむね配当還元価額です。

 安い株価で投資してきます。普通なら、投資を受けると、株数ばかり増えて、見合う資本金額が少ないのであまり歓迎されない投資なのですが、逆にみると、1株当たりの純資産が少ない投資=低廉増資ですから、相続税評価額を下げる効果があります。中小企業経営承継円滑化法のような、従業員のリストラ禁止条項もありません。つまり、100℃のお湯が入ったバケツに20℃の水を入れるのと同じで、お湯の温度(株式評価額)が下がります。

 普通、このような投資(低廉増資)をすると資本充実の原則に反することから禁止されているほか、株主間の持分が移動するので、それを目的で行われた場合は、法人税法22条第2項の益金の発生があったものとみなされる可能性があります。しかし、同通達で、この取扱いは、中小企業投資育成株式会社の性格、運営の態様等にかえりみて、中小企業庁が定めた評価要領に基づく評価額を税務上適正なものとして取り扱うこととしたものであるから、中小企業投資育成株式会社以外の者が行う一般の取引については、この取扱いにかかわらず、一般の例によることに留意されたい。として、例外的に投資育成株式会社からの低廉増資を定めているのである。

(なお、一般的の例の、低廉増資について法人税等の検討をすると、低廉増資は、増資した株主にとっても、増資を受けた会社にとっても資本取引ですから課税の必要はなく、株主間の持分が移動することについては、株主にとってみると、株式の含み益を増やしただけだから、いずれ譲渡したときに課税されるが、未実現利益の段階で課税するのは不適切だとする考え方もあります。)

(なお、相続税の基本通達では計算上中小企業投資育成株式会社が中心的同族会主になっても、中心的同族株主として取り扱わないと定めています。)

そして、この投資育成会社の投資を受けて増資している会社(=相続税対策が可能な会社)が今現在、40年以上にわたって、2,200社余あります。(東京中小企業投資育成会社HP)つまり、知っている中小企業だけが得をして、知らない会社は正規に相続税を納めているのです。

第一コンサルティング株式会社は中小企業投資育成株式会社をご紹介します。(投資を受けられるかどうかは同社の条件がありますので、個別に相談・折衝してください。)

 第一コンサルティング株式会社は、中小企業の事業承継を応援します。私たちは、現経営者と事業承継の話をしてみます。私たちは、息子さんの考えを聞いてみます。

完全なる事業承継は、税法の知識だけで実現できません。総合的な検討が必要な相続対策が求められています。

※平成24年12月当時の法律により記載している記事です。その後の改正には対応しておりませんのでご留意ください